「経審のルール、また変わるらしい」
そんな話を耳にした社長も多いのではないでしょうか。
国土交通省から、経営事項審査(経審)の改正内容が正式に発表されました。
施行は 令和8年(2026年)7月1日 から。
7月1日以降の申請に適用されます。
「で、結局うちは何をすればいいの?」
この記事では、専門用語をできるだけ使わず、社長が押さえるべきポイントだけをまとめました。
数分で読めます。ぜひ最後までお付き合いください。
そもそも経審って何だっけ?
ご存じの社長も多いと思いますが、念のため。
経審は、いわば 会社の通信簿 です。
公共工事を直接請け負いたい会社は、必ず受けなければなりません。
完成工事高、財務、技術力、社会性。
こうした項目を点数化して、最終的に「総合評定値(P点)」という1つの点数になります。
このP点が、公共工事の入札ランクに直結します。
つまり、経審の点数が上がれば、取れる工事の幅が広がる。
だから経営者にとって、無視できない話なのです。
今回はこの「採点ルール」の一部が変わります。
かちけんそもそも、なんで毎回ルールが変わるの?去年も何か変わった気がするけど…



時代に合わせて、業界の課題を解決するためですね。今回は「人手不足」と「災害対応」が大きなテーマです。



なるほど。じゃあ、ちゃんと対応しないと点が下がるってこと?



その通りです。何もしないと、知らないうちに他社との差がついてしまいます。
今回の改正、ねらいは3つ
国交省は、3つの方針で改正すると言っています。
1つ目は 「職人さんを大切にする会社を後押し」 すること。
2つ目は 「災害に強い会社を評価」 すること。
3つ目は 「古くなったルールの整理」 です。
この3つを踏まえて、変更点は大きく4つあります。
順番に見ていきましょう。
ポイント① 「自主宣言」で +5点(新設)
今回いちばんの目玉です。
「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」
この制度に沿って「うちは職人を大切にします」と宣言する。
宣言書と誓約書を提出する。
これだけで、新たに5点が加算されます。
ただし、注意点が1つ。
加点されるのは、審査基準日(決算日)が宣言日より「後」の場合だけです。
つまり、決算日より前に宣言を済ませておく必要があります。
先に動いた会社が得をする仕組みということです。
「あとでやればいいや」では間に合いません。
早めの準備が肝心です。
ポイント② CCUSの点数が下がります
①の新設とセットで、もう1つ変わります。
これまでの CCUS(就業履歴の蓄積) の点数が下がるのです。
具体的には、こうです。
- 民間工事を含む全工事の場合 → 15点が10点に
- すべての公共工事の場合 → 10点が5点に
「えっ、下がるの?」と思いますよね。
ここがポイントです。
CCUSだけの評価が薄まって、その分が①の自主宣言(+5点)に振り替わったイメージです。



ちょっと待って。CCUSが下がって、自主宣言で+5点なら、結局プラマイゼロじゃないの?



鋭いですね。両方やればプラマイゼロです。でも自主宣言をやらないと、CCUSの分だけ単純に減点になります。



なるほど…じゃあ自主宣言は「やらない選択肢はない」ってこと



その通りです。経審でしっかり点を取りたい会社なら、必須対応と考えていいです。
つまり、何もしないと点を取りこぼす可能性があります。
逆に言えば。
CCUSと自主宣言をセットで対応すれば、点数をしっかり守れます。
①と②は、必ずワンセットで考えてください。


ポイント③ 加点される重機が2つ増えます
災害のとき活躍する重機。
これを持っている会社を評価する項目があります。
ここに、新しく2つの機械が追加されました。
- 不整地運搬車(土砂などを運ぶ車)
- アスファルト・フィニッシャ(道路を舗装する機械)
なぜこの2つなのか。
能登半島地震の復旧で、実際に活躍したからです。
この項目は、保有台数に応じて最大15点(14台以上)。
該当する機械をお持ちの会社は、加点の選択肢が広がります。
「うちは持ってるぞ」という社長は、ぜひ申請でアピールしてください。


ポイント④ 社会保険の項目がなくなります
これまでは、こうでした。
雇用保険・健康保険・厚生年金。
どれかに未加入だと、それぞれ -40点。
合計で最大 -120点もの減点がありました。
今回、この3項目が まるごと削除されます。
なぜでしょうか。
実は、令和2年10月から、建設業許可の要件そのものに社会保険加入が入っています。
許可の更新は5年ごと。
ということは、令和7年10月以降に許可を持っている会社は、
「許可がある=社会保険に入っている」
と当然みなせるわけです。
だから、経審でわざわざ二重にチェックする必要がなくなった、というわけです。



-120点の減点項目がなくなるって、それって超ラッキーじゃない?
点が上がるってこと?



ここ、勘違いしやすいんです。すでに加入している会社は、もともと減点されてなかったですよね?



あ…たしかに。うちはちゃんと入ってるから0点だったわ。



そうです。だから「申請が楽になる」だけで、点が増えるわけではありません。
ここで1つ、勘違いしてほしくないことがあります。
これは 「申請が楽になるだけ」 です。
点数が上がるわけではありません。
すでに加入している会社にとっては、手続きがシンプルになるという話。
「ラッキー、点が増える」ではない点に注意してください。
結局、社長は何をすればいい?
長くなりましたが、やることはシンプルです。
1. 自主宣言は「決算日より前」に済ませる
これが最優先です。先に動いた会社が得をします。
2. CCUSと自主宣言は必ずセットで対応する
CCUSの点が下がる分、自主宣言で補う。トータルの点数を守る発想です。
3. 社会保険の削除は「楽になるだけ」と理解する
加点ではありません。他社との差は、①の新設項目や③の建設機械で付けにいきましょう。
まとめ
今回の改正は、令和8年(2026年)7月1日以降の申請から適用されます。
ポイントは4つ。
- ① 自主宣言で +5点(新設・早めの準備がカギ)
- ② CCUSの点数は引き下げ(①とセットで対応)
- ③ 加点される重機が2つ追加
- ④ 社会保険の項目は削除(楽になるだけ)
「点を取りこぼさない会社」と「なんとなくスルーする会社」。
7月以降、この差がじわじわ効いてきます。
ぜひ、今のうちに準備を進めてください。
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