「賃上げは必須、でも値上げは言いづらい…」と悩む社長へ。国交省の“新単価”を交渉の武器にする方法

先日、クライアントの社長とお話ししていた時のことです。社長はふと、こんな本音をこぼされました。

「世間では『賃上げ、賃上げ』と騒いでいるから、うちの職人の給料も上げなきゃいけないとは痛いほど分かってる。でも、元請け(施主)にはやっぱり値上げなんて言いづらくてね……」

長年付き合いのある相手に単価交渉を切り出すのは、本当に勇気がいることです。「他所に仕事を持っていかれたらどうしよう」「関係が悪化するんじゃないか」。そんな不安がよぎるのも当然です。

しかし、厳しいようですが、値上げをせずに賃上げだけを行えば、会社の体力(キャッシュ)はあっという間に底をつきます。
一方で賃上げを行わなければ、従業員という貴重な戦力が退職してしまうというリスクもはらんでいます。

「言いづらい」と足踏みしている今この瞬間にも、使える強力な“武器”が国から提供されたのをご存知でしょうか?

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■ 設計労務費「平均2万5千円超え」の衝撃(14年連続アップ)

2月17日、国土交通省から大きな発表がありました。

来月(3月)から適用される公共工事の「設計労務単価」が、全国全職種平均で4.5%引き上げられます。

これにより、平均単価は史上初めて2万5,834円を突破しました。

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【国土交通省発表資料】令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について

主要12職種で4.2%アップ、型枠工(3万1,671円)や警備員などに至っては5%以上の上昇です。

ちなみに、設計労務単価とは、公共工事を対象として、国が公共工事の積算に用いる単価として決定・公表しているものです。

「うちは民間工事ばかりだから関係ないよ」と思うかもしれません。 違います。このニュースは、民間工事における「値上げ交渉の最強のカード」なのです。

■ 「お願い」ではなく「国の基準」として提示する

値上げが言いづらいのは、「自社の都合(利益を増やしたい、材料費が上がって苦しい)」として伝えてしまうからです。
これからは、交渉のやり方を変えてください。

国交省の発表資料をプリントアウトし、見積書と一緒に持参するのです。 そして、こう伝えてください。

「国が『これだけの賃金を払わないと現場は回らない』と基準を大幅に引き上げました。うちの優秀な職人をこの現場に定着させ、御社の求める品質を守り抜くためには、どうしてもこの新基準に合わせた単価設定が必要なんです」

これは「値上げのお願い」ではありません。
建設業界全体で職人を守り、質の高い工事を提供し続けるための「適正価格の提示」です。

■ 注意!「単価=職人の日当」のドンブリ勘定は命取り

最後に、もう一つだけ経営上の注意点をお伝えします。

「設計労務単価には、時間外や休日、深夜の割増賃金、現場管理費など、事業主が負担する経費は含まれない」

ここを勘違いしてはいけません。
単価が上がったからといって、そのまま全額を職人の日当に乗せてしまえば、会社が負担する法定福利費や現場管理費で必ず赤字になります。
「労務費」と「会社が負担する経費」は明確に分けて計算し、利益を残す仕組みを作らなければ、本当の意味で会社と社員を守ることはできません。

悩んでいる間にも、人材確保の競争は激化しています。 「交渉の切り出し方がわからない」「自社の適正な見積額が計算できているか不安だ」という社長は、一人で抱え込まず、ご相談ください。
御社が正当な利益を得るための戦略を一緒に組み立てましょう。

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